田川未明(作家)

玉城ちはるの歌声は、微笑んでいる。
どんな時も、“ほほえみ”を宿して唄っている、そんな気がする。
歌手であり、ホストマザーでもあり、大変なことがたくさんあるはずなのに。
どうしたらあんなふうに、ゆったり微笑むことができるんだろう。

そう思いながら、この本を開いた。そして、少しほっとした。
彼女は正義のヒーローでもなく、絵に描いたような優等生でもなかった。
みんなと同じように悩み苦しみ、「ぶれぶれ」にぶれながら歩いている。

でも。
彼女はいつもまっすぐ向き合う。
自分に対して、人に対して、さらけだす。
飾らず、偽らず、ごまかさず、
必要とされたい、愛されたい、愛したい、ときっぱり言える。

その「てらいのなさ」に驚きながら、ふと思う。
“ほほえみ”の秘訣は、たぶんきっとその辺り。

人生は本当に迷うことばかり。
でも答えを探しながら歩いていけばいい、と彼女は言う。
その日その時に答えはなくとも、振り向けばそこに1本の道がある。
そうか、「ぶれぶれ」にぶれても良いんだね。
そう思って本を閉じたら、いつしかあたしも微笑んでいた。

効果絶大。