冒頭数行を読んで、思わず閉じてしまいました。
語りかけてくる文字のあまりの引力に、心をぐっと持っていかれそうだったから。
ゆっくりと、
自分が一番自然体でいられる場所で、時間を贅沢に使って読みたい。
このエッセイは、そういうふうに読むのが相応しい、
人生のワンシーンに入り込んで、根を張る本でした。
玉城ちはるさんという、懸命なひとりの女性の、“ありったけの”が詰まった、光の書です。
人生が煌めきだして、
人間が愛おしくなって、
周囲を大切にしたくなって、
自分のことも、許してあげたくなる。
上手に生きなくてもいいんだ。
生きていこう、ありったけの自分で——。
そうすれば“ただここにいること”が、こんなにも素晴らしい。
綴られる文字から溢れる生命力と愛は、
聴く人を魅了してやまない歌声と同じに、
美しく激しく心に焼き付いて、離れません——。